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EVENTS

2024.10.04

NIKKEI Digital Forum in ASIA 2024 バンコクへ登壇しました

2024年10月1日にタイ・バンコクにて開催された、日本経済新聞社と日経BP主催「NIKKEI Digital Forum in ASIA Sustainable Society & Solution Summit」に、フォーデジットCEOの田口とCOOの末成が登壇しました。

 

イベントは日本とアジア、ASEAN(東南アジア諸国連合)の間で産官学の交流・連携を促し、デジタル活用の歩みを共に進めることが目的としており、23年のベトナム・ハノイでの開催に続き、今回が2回目の開催です。

 

日本とタイのDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の専門家や政府関係者、IT企業、タイでビジネスを展開する日本企業などが多数登壇しました。

デザインの重要性の遷移と東南アジアビジネスでの必要性

田口は、東南アジア市場におけるデザインの重要性をテーマにプレゼンテーションを行いました。デザインが企業成長の鍵となる過程や、特に東南アジアにおけるデザインの役割についてお話ししました。

体験デザインの重要性

田口:
2010年頃に流行したUXデザインやデザインシンキングの影響で、コンサル会社やテック企業がデザイン会社を高額で買収していく事例が増えました。特に、2014年にS&P100企業のCapital Oneがデザイン会社Adaptive Pathを買収したことで、このムーブメントが加速しました。

 

また、ビジネスにおけるデザインの重要性を高めた例として、米アップルの成功が挙げられます。プロダクトを単体で売るのではなく、サービスと一体となった包括的な体験を提供したことのインパクトは大きく、多くの企業が包括的な体験価値を高めるためにアップルを追いかけるようになりました。

「デザイン」と「ビジネス」の間に生じる溝

田口:
以前、フォーデジットで企業のデザイン関係者を集めたセミナーを行っていた際に、UX部門に属する方々から『デザイナーは組織の端に追いやられがち』『UXデザイン部門から上位層へ昇進することは少ない』『経営層がデザインに興味を示さない』などの声を多く聞きました。一方、ビジネスサイドからは『デザイナーはビジネスを理解していない』『結果責任を負っていない』『理想ばかりで現実とは異なる』といった意見も聞こえてきました。

 

こうした意見を聞くと、デザインとビジネスの間には大きな溝があるように感じます。2010年代前半の日本ではUXデザインの概念がまだ浸透していない状況でしたが、時間が立つにつれてユーザー体験の向上にはUXデザインが不可欠であるという認識が徐々に芽生えていました。

戦略としてのユーザー中心アプローチ

田口:
ビジネスとデザインの溝を埋める解決策の一つが、ユーザーをより深く理解し、ユーザーが望むものを作る『ユーザー中心デザイン』に取り組むことです。すべての取り組みの中心にユーザーを置くことで、目指す方向が明確になり、これが組織全体の体制や考え方を少しずつ変えていくことにつながります。

 

このユーザー中心デザインというのは、さまざまなメソッドや方法論や展開されていますが、それを知ればできるような「機能」ではありません。ユーザー中心にデザインをするという信念や態度のようなものです。なのでユーザー中心デザインを実現するのは簡単ではありません。

 

しかし、この信念を大切にすることで、デザインを短期で消費するものではなく、事業やサービスとともに積み上げる資産として捉えることができるようになり、大きな価値があると考えています。

"Good Design is Good Business"

田口:
“Good Design is Good Business”という言葉があります。これは1966年にIBMのワトソンJr. が述べた言葉で、2015年に米デザイン業界のオピニオンリーダーであるジョン前田があらためて引用しました。今、この言葉に再び向き合う時期だと感じています。

 

ビジネスとデザイン、そしてテクノロジーの融合が生み出す体験は、確実に社会を変えていくと信じています。このタイおよびアジア圏の発展の中で、今後もさらに素晴らしい体験やサービスが生まれてくることを期待しています。私たちフォーデジットも、デザイン会社としてその成長をサポートしていきたいと思っています。

タイの金融機関におけるITとサービスデザイン

続いて、COOの末成が登壇し、NTTData Thailandの松原友寛様、モデレーターの佐藤央明様(日経BPトレンドメディアユニット長)を迎え、タイにおける活動を例に、企業に向けたITとデザインの支援のあり方を多角的に議論しました。(以下敬称略)

日本とタイの違い

松原:
タイでは「まずやってみる」というビジネス主導型のアプローチが一般的で、新しいものをユーザーに早く届けたいという意識が根付いています。一方、日本は法規制や既存システムの制約が大きく、新しいサービスを立ち上げる際に時間がかかることが多いんです。特にシステムトラブルを起こさないことが最優先で、それがプロジェクト計画にも影響しています。
また、開発スタイルも異なり、日本は人員を集中的に投入してしっかりと作り上げるのが得意ですが、タイではアジャイル的な手法を取り入れながら、軽いプロトタイプを動かして進めていくことが一般的です。

 

末成:
日本では、デザインをプロジェクトの最上流、何を実行するかといった段階からデザインを活用するケースが多くなっています。でも、タイでは最上流でデザインが取り入れられるケースは少ない印象です。特に経営層が意思決定にデザインを用いる場面が増えている日本とは異なり、タイではデザインの位置づけが経営層から遠い場合が多いと感じます。

各国での違いへの対応と課題

松原:
日本では、クライアントのビジネスやシステムを深く理解して提案するのが強みになっています。でも、タイではクライアント自身がすでにITチームを持っていることが多いため、それ以上に深く理解した提案が必要です。お客様と伴走できる人材を育てることが今後の重要な課題です。

 

末成:
日本の企業は部門ごとに役割が分かれていることが多く、部門ごとにKPIも違うので、統一された顧客体験を提供するのが難しい場合があります。タイでも同様の課題はありますので、全体の体験設計に貢献できるよう、時間をかけて信頼関係を築いていく必要があります。

日本流のアプローチはタイで通用するのか

松原:
NTTデータの世界での実績や経験は、タイにおいても武器になっていると思います。日本の「きっちりとしたものづくり」は、タイでも場合によってはフィットします。ただ、日本式の大規模プロジェクト計画はタイでは必ずしも歓迎されるわけではなく、「もっと短い期間で」という要求があることもあります。プロジェクトごとにお客さんの優先順位にそった形でやり方を柔軟に変える必要があります。

 

末成:
タイでも日本のデザインや文化にはポジティブな印象を持たれていることが多いです。グローバルにおいてもアップル然りいろんな方々が日本のデザインに影響を受けて作ってきたという長い歴史がありますよね。なので一定質が高いものと思っていただいているという印象はあります。ただ、丁寧なやり方が「時間がかかりすぎる」と思われることも。一方、私たちもアジャイル的な手法に近いアプローチで進めているので、タイのスタイルと歩み寄れる部分はあると思っています。

企業連携と今後の展望

松原:
成功体験やユースケースを早く見つけ、他国に展開するためには、複数の国や企業が協力することが近道だと感じています。NTTデータでは「クライアントファースト」を掲げており、単なるベンダーにとどまらず、お客様と共に伴走し、メンテナンスサポートまで責任をもって提供する姿勢を大切にしています。この「お客様に寄り添い、プロアクティブに提案する」という姿勢は、フォーデジットと通じる部分があると思います。

 

末成:
例えば、タイ企業がベトナムに進出する際のサポートなど、国をまたいだ支援も実績があります。また、そういったプロジェクトには多様な国やカルチャーを超えてコラボレーションする力が求められますが、そこには「ケミストリー(化学反応)」が不可欠です。連携の薄い企業同士だと文化の違いで苦労することも多いですが、NTTデータとフォーデジットのように長く付き合いがあるパートナー間では、お互いのやり方や価値観が共有されており、スムーズに協力できるのが大きな強みです。そうした信頼関係のもと、パートナーとしてお客様が抱える課題を深く理解し、デザインを通じてビジネスの成長を支援することを目指しています。

 

今回のイベントでは、様々な企業や団体のセッションもあり、デザインがどのように交わり、社会をより良い方向へと変えていけるのかを考える貴重な場となりました。

 

私たちフォーデジットは、タイやアジアの成長市場で培われる新たな知見や経験を取り入れながら、企業や社会の成長をサポートすることで、新たな可能性を切り拓いていく姿勢を大切にしていきます。

 

今後も引き続き、より多くの人々や企業と共創し、デザインを通じた価値提供をさらに深めていけるよう、これからも全力で取り組んでいきます。

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